ホーム > 金属3dプリンターについて > 向上が目覚ましい金属3dプリンターによる製造部品の強度

向上が目覚ましい金属3dプリンターによる製造部品の強度

 2017年に、金属3dプリンターの材料にステンレスを採用し、従来の製造部品の3倍にも当たる強度を持つ立体形状を生み出したというニュースが流れました。
これはアメリカのローレンス・リバモア国立研究所などの研究チームによるもので、炭素の含有量を極めて減らしたオーステナイト系ステンレス鋼を使用したものです。
オーステナイト系ステンレス鋼は、もともとステンレスの中でも耐食性に優れた強度の高い物質。
しかも強い力がかかっても破断せず、柔軟に変形できる延性があるため、注目度の高い物質でした。
この結果により、今後金属3dプリンターで製造した部品が、負荷の高い環境下で使われる部品としても使用に耐え得る可能性が示されました。
つまり、自動車はもちろん、船舶や航空機といった乗り物に使われる他、石油産業などの分野で応用できるのではという期待が生まれたことになります。

 金属3dプリンターは通常、金属パウダーを溶融しながら平面の形状を何層にも渡って積層することで立体化する、レーザー焼結という方法を使っています。
このレーザー焼結の過程では、多孔質の構造の場合部品の強度が落ちるために、強度の確保と延性とを両立させることがずっと課題でした。
先の研究チームは、コンピューターモデルやレーザー焼結プロセスを温度制御することで強度と延性を同時に実現する手法を編み出したことになります。
ステンレスの中に金属結晶の小さな部分構造を無数に作り出すことで、部分構造の中に結晶欠陥が入り込み、延性を確保しながら全体の強度を高めています。
この手法は今後ステンレスに限らず、強度の低い軽量合金など他の金属にも応用出来るよう研究が進められる模様。
画期的な技術を生み出した金属3dプリンターが、更に画期的な手法によって進化を遂げようとしています。

 金属造形自体、昔ではまったく考えもつかなったアイデアでした。
モデルをCTスキャン画像のようなスライスデータに変えて、それを2次元的に積み重ねて行くことで3次元化を実現します。
金属をそんなに薄く重ねて行くこと自体、従来では考えられませんでした。
造形エリアでは0.03から0.04mmという薄さの金属の粉を敷き詰め、それを溶かしながら作業は進んで行きます。
金属造形にあたって多くの技術者が懸念したのが強度の問題ですが、実際には引張・降伏ともに強度は量産品と同等に近い数値が出ています。
これだけでも問題ないとされて来ましたが、先の研究チームのように更に上を行く技術が開発されれば、いつしか量産品をも超える本当に新しい技術となるでしょう。
将来的に医療分野で命を救う技術になったり、宇宙船を安価に飛ばす技術になったりするのでしょう。
どんどん進化していくこの技術は、科学者だけでなく多くの人にとってわくわくする希望の技術となりつつあります。

次の記事へ

PAGE TOP